つながるをつくる。株式会社グラコネつながるをつくる。株式会社グラコネ

裙本 理人

セルソース株式会社 代表取締役社長

2005年 神戸大学 発達科学部 卒業
2005年 住友商事株式会社 入社
2007年 ロシア サンクトペテルブルグ大学 留学
2011年 ロシア プラスタン 駐在

2015年 セルソース株式会社 代表取締役社長CEO(現任)
1982年生まれ、兵庫県出身。2005年神戸大学発達科学部卒業。同年、住友商事株式会社に入社しロシア・北米地域の木材資源関連ビジネスを担当。2007年よりロシア サンクトペテルブルグ大学にロシア語学研修生として留学。その後、極東のプラスタンにて、ロシア最大級の木材加工工場立ち上げプロジェクトに従事。商社の最前線で様々な情報に触れる中で、これからの社会における医療の可能性と必要性に着目。その中でも臨床の段階に進み始めたばかりである再生医療の分野での挑戦を決意。2014年、再生医療等安全性確保法が施行されるタイミングで住友商事を退職し、再生医療関連の事業をスタート。2015年、セルソース株式会社を設立し代表取締役に就任。真に社会から必要とされる事業創りに邁進している。

篠原ヒロ

Co-Founder and COO of SIVIRA Inc. Co-Founder and CEO of Hotaru Inc.

6歳の時、自宅にあった Macintosh に出会い、コンピューターでものを作る喜びを経験する。11歳の時、テレビで見た Netscape と、Marc Andreessen が起こした革命に強い衝撃を受ける。そして、中学生時代。アメリカ西海岸を訪れ、後にドットコムバブルと呼ばれる現象を目の当たりにする。その時、テクノロジー業界での起業という生き方を決意する。帰国後、ソフトウェアの開発に没頭。19歳で起業し、モバイルアプリ、クラウド、IoT 等複数のスタートアップに携わり、日本、シンガポール、台湾、アメリカで起業をする。
現在は、2013年に立ち上げたビットコイン関連ニュースサイト BitBiteCoin.com をきっかけに、ビットコイン及びブロックチェーンの事業に力を注いでいる。ブロックチェーン研究開発スタートアップ SIVIRA Inc.の共同創業者。
Airbnb で暮らすホームレスでもある。あと、エヴァンゲリオンの記事が人気。

藤本真衣

「突然ですが、世の中のニュースを目にしていて『違う!』と思うことはありますか」

篠原

「ビットコインの世界は分かりやすい。ビットコインは危険だ。マネーロンダリング、最近だと殺人事件まで起こるようになっている。有名な新聞でも間違っていることがあります」

裙本

「篠原さんもそうだと思いますが、医療に限らず僕はニュース全般をほとんど信じていません。むしろその裏側を読むことが重要かなと。なぜこのニュースがこのタイミングで発信されたのか。何がその裏にあるのかを読むことが習慣になってしまっていますね。ビットコインの記事ももちろん見ていますが、その背景を読んだ上で理解するようにしています」

篠原

「全ての情報において、誰が信じられるのかというのが、受け取る側の判断に委ねられています。テレビを見ていれば良かった時代とは違う。情報戦という意味ではそこが違います。自分で見極める腕力を持つことが重要」

裙本

「全て能動的に考えないといけないですね、原因と結果を。過去から学ぶこともそう。なぜこのタイミングでこのニュースが出るのかを考えずに、ただテレビを見て受身で情報を与えられるだけだと、洗脳というか用意されたレールに絶対に乗ってしまう。例えば、ビットコインが中国で規制される、だから価格が下がる、と言われればみんなが必死になって売りに入るとか。ああいうのは全部思い通りに動かされていますよね。そもそも暗号通貨は投機対象なんかではなく、見方によっては貨幣の歴史における最も重要なターニングポイントとなるテクノロジーであるにもかかわらず、既存のフィアット通貨で、その価値を測ること自体、違和感があります。」

篠原

「インターネットは昔から嘘ニュースとの闘い。今は全世界的にそれが問題になっています。嘘ニュース自体もブロックチェーンで解消できると思っていて、そういうプロダクトを僕らも作っています。発信の敷居が下がったので、嘘をつける敷居も下がった。僕はブロックチェーンの前はワードプレスをすごくやっていた。ワードプレスのファウンダーに会って、感銘を受けてワードプレスの事業を数年間やっていた。シンガポールでやっていた事業はそれ。ワードプレスのビジョンは出版の民主化。誰もがCNNみたいに情報発信できるようになると。あの9.11の後にアフガンの人が反論することのできるメディアがブログだった。新聞社の偏向報道ではなく、アルジャジーラやCNN以外の人が発言できるメディアがテロの直後に広がった。その文脈も踏まえてワードプレスは、誰もが簡単に情報発信ができる、出版ができるものだった。その目的は果たされたと思っています。FacebookやTwitterもそうですが、今はむしろ誰しもが情報発信でき過ぎています。だからこそ情報の受け取り手がフィルタリングというか、精査するというか、今までのようにテレビから流れてくるものは本当だとかインターネットで出ていたら本物だと思ってしまうとかではダメ。偽医療情報も問題になりましたけど、ああいうことが起こってしまう。発信できるステージの次にやらないといけないのは、テクノロジーでフィルタリングするとか、受け手が能動的になるための勉強をしやすくなる仕組みとかが必要になると考えています」

裙本

「2013年にアメリカ整形外科学会の治療ガイドラインで以下の文章が発表されました。”We cannot recommend using hyaluronic acid for patients with symptomatic osteoarthritis of the knee.”つまり、日本では日常的に膝の痛みの治療として利用されているヒアルロン酸の注入ですが、アメリカ整形外科学会としては、推奨しないというガイドライン。その後、様々な議論が今尚なされているようですが、少なくとも日本では、このニュースは広く浸透しなかった。少なくとも患者にはあまり伝わっていない。つまり真実は何なのかを能動的に見極めること、情報を自分から取りに行くことが非常に重要である1つの例だと思う。何が正しいのかは別の話として。」

篠原

「サプリなんかもそういうことがある。マーケットとして日本は年配の人が多くて、自分の健康にはお金を使うから、それを引っ張り出すと一大産業として儲かる。変に情報で教育されるくらいならこのままお客さんになってもらうという選択をしてしまうのかもしれない」

藤本真衣

「私の周りには、たまたま正しいことをしてビジネスをしようという同世代の人ばかりですが。そんな話聞いたら、もしうちのおばあちゃんが頑張ったら治るかもと思って、足を引きずりながら病院に行って膝に注射を打っていたのか?と思ったら、涙が出ますね。」

藤本真衣

「人間は人間を超えられるのか。どう思いますか」

篠原

「僕の思考はアニメで成り立っています。エヴァンゲリオンとかARMSとかこのあたりがミックスされています。サイボーグ化されてみんなが液体化されて1つになるみたいな世界をずっと想像していたんですけれど、果たしてそれがいいことなのか。できることはできると思うけれど、それはいいのか、いつできるのかということ。つまり人間は人間を超えられるのかという」

裙本

「深いテーマですね(笑)。人間しか判断できない倫理観も絡んでくる。自動運転で難しいのは、トロッコ問題と聞いたことがある。例えば、ある時、このまま前に走っていけば壁にぶつかる状態に陥った自動運転車が、右に避けると赤ちゃんを抱いた若い人がいて、左に行くと老人がいる。どちらにハンドルを切るべきかという判断が、自動運転車にはできないということ。もちろんそこに正解が無いから。ゆらぎというか、様々な解釈を人間だったら見出すのかもしれない」

篠原

「もちろんそうならないのが前提ですが、仮におじいちゃんと子供のどちらかを殺してしまう2択という状況があったとします。今はデータ量が少なすぎるから単純に年配の人をはねた方が経済的な損失が少ないという結論になってしまうかもしれない。でももっと改ざんされていないデータが蓄積されていけば、もっと明確な理由でどちらかをはねる選択をできる可能性があると思う。単純に年配だから、じゃなくてこの子は数年後にすごい発明をする可能性が95%あります、みたいなことをすぐに計算する。それに加えて、ブロックチェーン上に蓄積した『徳』を判断する。このおじいちゃんは100万人のアフリカ人を寄付で救ってきた人です、みたいな。この子は天才ですごい発明をするけれど、みんなに嫌われる人です、とかが予測できる可能性がある。こういうことを計算してプラスマイナスする可能性はあると思っています。倫理観を差し引いて考えていますが、そういうデータを蓄積できれば、人間ではなくてAIに判断させられるかもしれない。これはまさにエヴァンゲリオンの世界ですが、政治や意思判断をAIにさせることによって、正しいとは言えないけれどもベターな解決策を出せると思う。倫理観すら人間の手に負えないものになってくる。常識に照らし合わせると大体のことはダメになってしまいます。全部止めようとなる。でも人間の進化を考えると、人間はその都度その都度みんなで考えて議論をして答えを出してきたわけですが、その人間が培ってきた知識というものが、ついにコンピューターという自分たちの判断を上回る装置を生み出した。そして今後、シンギュラリティを迎えるとなると、自分たちで判断するよりも、こっちに判断してもらった方がいいんじゃないの、となる。倫理観も、経済的な損失を少なくすることがいいのか、ぎすぎすしないことが大事なのか、人間が滅びないことを優先するのか。そういうことを含めて、考える装置を人間が生みだしていく」

篠原

「『PSYCHO-PASS』というマンガがあって、犯罪を犯す可能性のある人は『シビュラシステム』によって『犯罪係数』が分かるので、特殊拳銃「ドミネーター」で撃ち殺していいという社会が描かれています。それを判断するAIがある。そのシステムがあるから、普通はディストピア的な窮屈な世界をイメージするんですが、みんなすごく幸せなんですよ。そのシステムによって、生まれながらに自分の才能が分かる。あなたは弁護士になりなさいとか。敷かれたレールの上に乗ったら最高に幸せな世界。恋人も選ばれる。人がいいか悪いかを考えるのを放棄した世界。PSYCHO-PASSが提示した問題というのは、その社会でイレギュラーが出た時にどうするかという話。グサグサと人を刺しているのに、犯罪係数がゼロの人がいる。その人を特殊拳銃「ドミネーター」ではなく仕方なしに鉛玉で撃ったら殺人者になる。そこで描かれた社会を僕はいいと思っていて、AIが判断した結果全てが正しくなった社会。でもちなみにそれは東京だけ。東京だけが最高に幸せで、後はもう穀物作るだけのエリアとか」

篠原

「僕は起業家として倫理のことを考え始めたら訳が分からなくなるから、それは時代が決めるとか、歴史が振り返って決めるとかになってくると思っています。自分が正しいと信じていることをやるしかない。間違っていたら誰かに撃ち殺されるという前提で、信じた道をただただ行く。北斗の拳のラオウみたいな生き方を目指しています(笑)」

藤本真衣

「アニメの話ばっかりになってきた・・・(笑)」

裙本

「時代が決めるというのはすごく正しくて、僕らはたかだが30年くらいしか生きてなくて、昔のことは体験していないから実際には分からない。だけど日本もたった70年前は戦争をしていたし、それより昔の戦国時代では、みんなが日常的に傷つけあっていた。時代によって価値観も、倫理観も変わるというのは紛れもない事実。」

篠原

「魔女裁判もあったし、虐殺が肯定された時代もあった。何なら奴隷がいた時代もあった。逆に今は大奴隷時代だと思っています。人間はデバイスを奴隷にしている。人間のために奉仕したかったかどうかも分からないのに。特に車なんて乗り捨てられたりする。未来の人類からしたら『何と非人道的な。車に乗るだけ乗ってスクラップにしていた時代があったらしい。車の声も聞かずに』となるかもしれない。『適当に椅子を買ってきて座っていた時代があったらしい。椅子の声も聞かずに』みたいになると思う。だから僕たちはものすごい奴隷を使っていると思っている。奴隷を開放しないといけない。このデバイスたちを。しゃべれないからといって、鎖につながれているわけですよ、みんな。これも今の価値観でいうと『ものだから使えばいい』となりますが、果たしてそれはただの物なのかと。もしかするとこの物が持っているデータが病気を治すかもしれない。この椅子に何回も座った人はこうなるとか、この椅子と机とエアコンがコミュニケーションを取れば最適な気温にしてくれるかもしれない。そう思うと僕たちは今、奴隷を酷使していることになる」

藤本真衣

「100年後の30代の人たちが今の私たちを見て、もっと人間らしくなりたいと言っているかもしれない。自分で考えたいという人が出てくるかもしれません」

篠原

「僕は100年後に30歳、年齢という概念がなくなると思っています。『昔は年齢というものを数えていたらしい。不思議な時代もあったものだ』となっていると思う」

裙本

「極限まで効率化されて、正しいものはAIが全てはじき出してくれる超合理的な社会が到来するのかもしれない。無駄のない社会。一方で、バーベキューとか飯盒炊さんみたいなものが、世の中から消えないのは、人間が一種の無駄を楽しむ生き物だからと教わった。一瞬で火を起こす道具があるのに、何でわざわざ、薪から火を起こして、飯盒炊さんでご飯を炊いているのか、合理的な説明はできない。でも、そこに生まれる連帯感とか、ほのぼのとした空気とか、友達とビールを飲みながら炊き上がるのを待つ時間とか、合理で判断できない時間にも幸せを感じる。合理的に言うとこの時間無駄だよね、というところがあるけれど、人間はそれを楽しいと感じている。不思議ですよね。」

篠原

「応援しているシリコンバレーのソイレントという会社があります。食事は無駄だと言い切っている。彼らも友人や恋人とのコミュニケーションのための食事はあってもいいというスタンスですが、普段の食事は無駄でしょと割り切っている。あれだけ振り切っている人たちでも食事を完全には否定できない。みんなで一緒に食事をするのが大事という、非効率的かもしれないけれどコミュニケーションのためには必要だということで価値を見出している。そういうことが、人間が人間である所以というか、ゆらぎを楽しんでいるような気がする」

裙本

「不規則性がないと革命が起こらないのかもしれない。予測不能な事象が起きて、突発的な事故が起こった時に別の新しい何かが発生する。宇宙の起源もきっとそう。不規則に動いている惑星とかにヒントがあるはず。」

篠原

「宇宙の成り立ちから考えてもイレギュラーによって新しい変化が起こる。そういう意味ではこれから来るAI社会は完全効率化ではないと思っています。AIは無駄を含めた効率じゃないと意味がないと判断すると思います」

裙本

「無駄すらもプログラミングされているかもしれない」

藤本真衣

この話、まとまりますか(笑)?将来は将来として、目の前の近いところでは何をすべきでしょうか。

篠原

「仮想通貨、ブロックチェーンが1番変えるものは誰しもが挑戦できるようになること。それがICO。これからは誰もが資金調達をしやすくなる。でももっと大きな変化は、誰もが資金を出しやすくなるということ。これはすなわち投資と寄付の概念が融合していくということです。今まではそれを銀行とか国家など第三者に依頼していましたが、誰もが挑戦できるし、誰もが応援できる。向こう数年間はこれまでの歴史上ないほど挑戦が増える。その挑戦を応援する時に儲かるからという理由で応援するのではなくなっていきます。応援する人の数が圧倒的に増えて、応援する敷居が下がる。1億円出すから頑張ってではなくてみんなで100円ずつ出し合おうとなる。そうするといいことをした人を応援しようと必然的になる。いいことをしようと考える人に応援の力、資金が集まっていいことがなされる。そしてそれが評価されて、改ざん不能な記録として残って、次の世代に継承される。子孫が社会において、すでに徳を積んだような状態で生きていける。だからお金を集めるよりもいいことをした方が得、メリットが大きいという社会になっていくと思います。徳を積んでいるからAIから優遇されるとか。だから世の中にいいことをする人が増えると思う。僕がスタートアップを作るスタートアップというアプローチで事業を量産している理由は、とにかく挑戦者を応援してどんどん排出していきたいからです」

裙本

「既存の医療業界を破壊することではなくて、関係者全員が高い倫理的な思考を持ち、正しく安全な医療を通じてより良い社会を作っていければ良いと思います。きれいごとではなく、これからの社会にとって最も重要なことだと思っているので、必要なことを1つ1つ粛々とやる。人生1度だけですし、時間も限られているのでとにかく早く、最大の効率で進めないといけない。そのためにAIやブロックチェーンの技術を学び、取り入れ、革命を起こしていく会社にしたい。医療は医療の世界で、ガラパゴスでやっていきましょう、ではなくて、異分野で起こっていることも真摯に貪欲に学んでいくことが必須。既存の権利を守るためではなくて、いい社会を作るためにどうしたら良いのか、医療を通じてフラットに考えていきたい。今日の話はすごく刺激的でした。医師の経験則をブロックチェーン上に記録していくというのは100%そうなるだろうし、難しいと諦めるのではなくて、セルソースが先陣を切って進めていく。倫理観を大切に、真面目に真摯に取り組んでいきたい」

藤本真衣

「思った通り、裙本さんと篠原さんで革命を起こしてください。私はこれからも、人のつながりをつくって、少しでも皆さんが早く前進できる力になりたいです。」

グラコネ藤本の本が出ました

人生を変える
「繋がりの法則」
人脈から一歩その先へ

藤本 真衣 (著)

セルバ出版

Web3新世紀
デジタル経済圏の
新たなフロンティア

馬渕 邦美 (著, 監修),絢斗 優 (著),藤本 真衣 (著)

日経BP

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