つながるをつくる。株式会社グラコネつながるをつくる。株式会社グラコネ

勝手にGracone対談

勝手にGracone対談

今井崇也

フロンティアパートナーズ 合同会社代表CEO

1980年新潟県生まれ。新潟大学大学院にて素粒子理論物理学で博士号(理学), Ph. D. を取得。カカクコム株式会社、BizMobile株式会社にて、検索エンジンの開発/サーバ運用、R&D、大規模データ分析、データ蓄積システム構築などを経験。2014年4月、フロンティアパートナーズ合同会社を設立。現在代表CEO&創業者。株式会社ブロックチェーンハブ技術アドバイザー。一般財団法人ブロックチェーン技能認定協会アドバイザー。

増島雅和

森・濱田松本法律事務所

第二東京弁護士会、ニューヨーク州弁護士会所属。経済産業省「ブロックチェーン検討会」委員、一般社団法人 金融革新同友会FINOVATORS 代表理事、一般社団法人 仮想通貨ビジネス勉強会 理事
金融庁監督局、国際通貨基金(IMF)金融安定査定プログラム(FSAP)外部顧問などを経て現職に。革新的なビジネスモデル創造を目指す新興企業や、協業を通じ自社のビジネスモデル革新を目指す既存企業の法務戦略パートナーとして、新たな価値の共創を目指す。

見出し

藤本真衣

今回のグラコネ対談は、ビットコイン業界を牽引するお二人、弁護士の増島雅和さんと今井崇也さんです!
(この対談は、2016年8月29日に行われました。)
今日はよろしくお願いいたします!ビットコイン業界の普及に絶対欠かせないお二人とこのような場をセッティングできて光栄です。
まずは自己紹介をお願いします。

今井崇也

今井崇也です。7月にマスタリングビットコインの日本語訳を出版しました。
最初一人でこの本の原著の翻訳を始めたときの目的の一つが、技術を広めるというところです。
その点で言うと、どんどん広めていくというところをやっていますね。
株式会社ブロックチェーンハブの技術アドバイザーや、カレンシーポート株式会社のビジネス寄りところのお手伝いもしています。

増島雅和

自己紹介・・・ブロックチェーンでしたっけ?ビットコインでしたっけ?仮想通貨でしたっけ?(笑)

藤本真衣

(笑)全部大丈夫です。
ブロックチェーン、仮想通貨、ビットコイン、全体において話しますので。

増島

森・濱田松本法律事務所の増島雅和です。仮想通貨の世界は、純粋にテックの人、ビジネスの人と両方が存在する領域になっています。
僕は仮想通貨とかブロックチェーンとかが提示している世界観やその法律・制度の中で意味していることを考えるのが好きなんですが、他方でビジネスの人たちが仮想通貨やブロックチェーンでビジネスをうまく成功させることを支援する立場なので、そういう人たちとの仕事が多いです。
ビジネスモデルを作りたいと思って挑戦をしてる人たちと一緒に仕事をする感じです。
その中には、法律を作ってくださいですとか、税金制度を変えてくださいとか、こういうことを役所に理屈を作ってくださいとか、正しい役所に正しいタイミングで正しいロジックで差し込む。そういう仕事をしてます。

藤本真衣

ありがとうございます。
ちょうど今、税金の話が出たんですけど、昨日(2016年8月28日)のニュースに「2017年度の税制改正要望で金融庁が仮想通貨にかかる消費税の扱いを明確にすることを求める方針が分かりました」という記事を見たんですけど、今後どういった感じになっていくのでしょうか?

増島

きっとテック側の人は、そんなことはどうでもいいと思っている可能性が高いと思っているんですけれど、他方でまともにビジネスをしようとする人は税金を払わないでビジネスをするというのは企業市民としてあり得ないと考えている。
テックの人もビジネスの人も、両方とも仮想通貨をすごいと思っていて、これを使える世の中を作りたいと思っているんです。
ビジネスの人のアプローチとしては、まず自分たちが守らなきゃいけない法律を守ろうとすると、ビジネスが立ち行かなくなってしまうような、そんな重大な障害になってしまうものを取っ払いたいという、こういう気持ちをもっています。
仮想通貨の領域では、その一番強いのが消費税という。こういうふうな話になっています。

増島

今回、実は仮想通貨を資金決済法に入れてもらったわけですが、資金決済の手段として仮想通貨を法律上位置づけるという事を何故僕たちが一生懸命やっていたかというと、結局その先には消費税というのが存在をしていて、これをなんとかするために法制化をしてもらったというところがあったんです。
結局、決済のために使うんですと言いながら、消費税がかかるっていうのは制度として歪んでいて間違っているので、そういうことは起こらないはずだと我々は踏んでまして。
でも、消費税をなんとかしてくださいと押していっても、何も制度が存在をしないのに、消費税なんとかするって出来ませんよね。という話になってしまうのは目に見えていたので、まず懐に飛び込んで、仮想通貨を国の制度にしてもらう。
そして国の制度になった以上は、それが回る仕組みにしないといけないということで、消費税のところを倒しに行くという、こういう大きな戦略をビジネスの人は持っていたわけです。
そういう意味では、その仮想通貨が資金決済法が入った段階で、消費税の非課税の論点というのは、まず半分ぐらいのところまで行ったという感触を持っていました。
ただ、それをどういう形で抜いてもらうのか。
テクニカルにはいくつかの方法があったわけですけれども、その中で一番無理のない電子マネーが非課税だというロジックに比較的近いようなロジックで仮想通貨の消費税非課税を実現してくださいと。
なぜそれが出来るのかという、そのロジックを積み上げて役人や政治家の皆さんにずっと説明をしてきた経緯があるわけです。半分と言っているのは、まだ決まったわけではないということでもありまして、しっかりこれを決めに行くための活動をまだまだしなければならないわけですが、少なくとも今のところは、おそらく良い形でルートに乗っかっているのではないかというふうに思っているところです。

 
※この対談は、8月29日に行われた対談です。2016年10月12日に、ビットコイン非課税の方向で検討というニュースが出ました!増島先生のご尽力もあってここまで来たんですね!
藤本真衣

ありがとうございます。先日、私自身が日経FinTechのピッチコンテストに登壇した際、KIZUNAプロジェクトをピッチしました。
ビットコインの国際送金手数料が安いという利点を生かしたもので、寄付されたお金を1円でも多く届けるために立ち上げました。
最近のニュースで国連ボランティアがアフリカのインフラ開発に向けて仮想通貨エキスパートを募集していると出てました。
実際に、もうユナイテッドウェイ(United Way)やセーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)、赤十字などでも使われています。

藤本真衣

手数料が安いという利点以外にも、やはり透明性がある部分でも、ドネーションされる側だけじゃなくて、ドネーションする側もとてもメリットが多いと思っています。

増島

ドネーションの発想だともらったほうにアカウンタビリティが発生をするので、詐欺が起こらない仕組みをビルトインできたらいいですね。
今までは活動報告とか収支報告を出したりするのがスタンダードです。日本はそういうところがすごい適当なのですが、普通はそういうものなんですよ。
透明性を高めないと、人からお金をもらえないよねっていう話になっているわけです。
たいそうなもので作るとけっこう大変なんですけど、ブロックチェーンでやると少額でも投げ銭感覚でお金が投げられるわけですよね。
だから、そのリアルタイムの活動が直接見られて、その見られている活動に応じて、投げ銭が出来る。
もしくは何かのKPIに応じて、こちらがそのお金をビットコインを提供することにコミットして、それがKPIの達成と連動して、実際にビットコインを流せるような仕組みにするとか。
そうすると、ただ”送金手数料が安いです”だけじゃない仕組みになれそうですよね。

藤本真衣

ありがとうございます。そうですね。
せっかくやるなら、ビットコインの、マイクロペイメントとか、プログラムのような状態で支払えるというようなビットコインの特徴をうまく活用して作っていきたいです。
貴重なご意見ありがとうございます。現在、お二人が注目されているブロックチェーン、ビットコイン、仮想通貨関係のプロジェクトって何かあったりしますか?

今井

そうですね。プロジェクトって話で言うと、MITメディアラボでのDigital Currency Initiativeですね。

藤本真衣

伊藤穰一さんのMITメディアラボですか?

今井

はい。ビジネスサイドの話は、それはそれで進むだろうし、使いどころっていうのもたぶん色々あるんだろうと思うんですけど。
そこはそれで良くって。今後も何かしら関わることはあるんだろうなぁとは思いつつ、今後、もうちょっと発展出来る形に、インフラのところを整える部分に貢献できたらいいなぁと思っています。

今井

今って、マイナーだったり、それぞれのパーツが密に結びつきすぎてしまっていて、実際、開発、そのCore Devのほうが色々なんかやろうと思っても、結局どこかの同意を取らなきゃいけないという。
いわゆる企業みたいな感じになってて。
会社が大きくなってくると、全体の方向っていうのが、決めるためには誰かの同意を取らなきゃいけなくてっていう。それと似たような状況になっていると思うんです。
そうやって関連しすぎてしまうと、結局、進歩のスピードが極めて遅くなるわけです。
例えば、大企業が陥るような状況になる。
そこをうまく、レイヤーを分けて、それぞれが間を通信するインプットとアウトプットのプロトコルだけを決めることで、それぞれが別々の進化が出来るような形にしたいです。

藤本真衣

と言うと、インフラはアカデミアの領域でやりたいとか思うんですか?

今井

そうですね。とりあえず今のところは。
ビジネスサイドで色々やると思うんですけど、たぶんそれがないと行き詰まる(笑)
そして結局「ビットコイン、色々やってるけど、あまり進歩ねえじゃねえか」みたいな話になる。と懸念しています。

今井

例えば、インターネットが普及した理由の一つは、自由に参加できるっていうのが一つはあると思っていて。
もう一つは、その通信するプロトコルがすごいシンプル。OSI参照モデルでは、物理層、データリンク層、IP層(ネットワーク層)、TCP層(トランスポート層)など通信処理が何層にも分かれた形で構造化されていて、実際、開発をするときには、実際、開発をするときには、アプリケーション層の部分だったり、インターネットの通信のとこだったり、ウェブのとこだったり。
そんなところだけを押さえておけばよくって。
この前の層などは別に知らなくていい。そこってすごーく綺麗に抽象化されてる。
細かいリアルに何か動いてるかを知ることなくものが作れるんですよね。今のビットコインって、知らないといけない。

藤本真衣

全部を知らないと何も作れない。

今井

そう。それは、開発をするっていう点で言うと、極めてやりにくいし、発展性も低い。
そこがある概念として、リアルな何かじゃなくて、概念として、なにかを別のものとして持ってきて置けることによって、自然に開発も出来る。

藤本真衣

業界の中で、ちゃんと階層化して、抽象化して、概念化して整理されると、もっと入りやすくなる。
おそらく色々得意領域が違うからうまく整理するって事ですかね。伊藤穰一さんは、インターネットよりもスピードが速すぎると言ってましたね。
インターネットはもっとゆっくりかけて成長したのに、ブロックチェーンはいきなり1000億とかドカーンといっちゃったので。
ただ、MITなどがインフラとしてアカデミアが支えようとも言い出してましたね。

今井

はい。先ほどの増島さんの法制化の基礎を整えるのと同じように今後発展する上で、固めなければならないものっていうのはあって、僕もまずはそこに貢献できたらなっていう感じですね。

藤本真衣

今井さんの強みは、物理出身なので、本質とか抽象とか、そういうの強いですよね!
増島先生がすごいなと思ったのが、かなり早い段階から参入されたところです。

増島

インターネットの仕組みとパラレルな形でのビットコインと言ったときに、どう整理したらいいのか分かりにくいのが、ビットコインというのはインフラであり、アプリである。
その両面性が物事を複雑にしているのかなという気がします。このインフラとしてのビットコインシステムを動かすカスタムのエンジンがビットコインなので、これがどうしても複雑でして。
普通に綺麗に階層化をして、ここは商業と関係ないんですよっていう世界を作る為にはどうやったらいいのだろうなぁっていうのが頭を悩ませるところなんじゃないかと思います。
インターネットだったら、大学の先生たちがやってる下のほうのレイヤーっていうのは全部で13個ぐらい拠点があって、みんなでここをこう動かすぜ、みたいなのをやってるわけですが、ビットコインは必ずしもこれと同じようにはいかない気がしてます。
ブロックストリームの人たちはテックを作ってインフラを作るという気概の人たちが多いように思いますが、このようにやり続けるってなかなか大変だなぁって思います。
多くの人は、すぐお金もうけ側にいっちゃって、そうじゃない側に住む人がいなくなっちゃうっていうのは、ビットコインの構造の問題というか、インターネットの繋がりとはまた違うようなところがあるように思います。

藤本真衣

本当になんか、お二人は大事な土台の部分を作っていらっしゃるんだなって、改めて思いました。(笑)すごいなぁ。

増島

僕は技術者ではないので、ビットコインの土台を作るということは全然できなくて、あくまで法制度を整えてそのうえでストレスなくビジネスをしてもらうということしかできません。

そういえば、例のR3(注:R3CEVという、国際的な金融取引にブロックチェーンを用いようとする銀行を中心としたコンソーシアム)が新しくノンテクニカルホワイトペッパー出してました。あれを見ると、彼らは自分たちをブロックチェーンとは呼ばない可能性があるような気がするんです。
『抽象化をしたビジネスロジックやレッジャーみたいなものを共有するための技術です』みたいな言い方。
共有をするところで、それに合意をしてきた人がその中に入るっていうフレームワークをおそらく取っていて、事前にそこに合意をしたよねっていうことで、オートメーションとエンフォーサビリティをそこの中で実現をする枠組みを作ることで『今までかかっていたコストがかからなくなります。』というコンセプトで立てつつ、別にレジャーを共有する必要まではないんですという概念で、ただ、そのロジックは共有しましょうみたいな。
こういうふうな見方で考えているんじゃないかと思います。取引でもなんでも、こっちから見る人とそっちから見る人では、ものの見え方が違うので、『こういうふうに見えることにしましょう』っていう合意が必ず必要になります。
つまり同じ事象でも見え方が違うことが紛争の種になるので、それがなくなるようにしておくということです。
でも紛争、紛争というのが適切な表現でなければ見え方の違いに起因する意見の不一致の可能性って絶対ゼロにはならなくって、最終的にはそれでもダメならば意見の不一致をこういう形で解消しましょうっていうロジックを実は持ってないとダメだと思うんです。
そういうものを全部盛り込んで、レッジャーを共有してる人がみんな同意をしている。そういう枠組みを作りませんかという話をR3のCordaの人たちはしようとしているんじゃないかというふうに思います。

 この同意というのは、当事者みんなで同じものに同意すれば、それが契約になります。スマートコントラクトというコンセプトは、コードに約束事が書いてあって、その仕組みを使うということはこのコードに合意したってことだよね、ということを言っていると理解しています。
そう考えると、翻ってビットコインってなんだろうっていうと、やっぱりこれもコードに対する合意なんですね。
コードに合意するということは、ウォレットの残高がこういう仕組みで移りますということに合意したことになるわけでして、その合意によって高い流動性が確保される。法律・契約みたいなものと通貨というものとの共通点がそこにあるんだろうと思うんです。

藤本真衣

当たり前ですが、素人がどんな議論しても、なかなかビットコインが根付いたりはしないわけで、テクニカルに印象的に使えたとしても法律家にしか分からない知識が絶対必要で。
それをおそらく増島先生は初期にやられていながら、同時にロビーもやられていて、金融庁とか、そっちもやられていて、さらにビジネスもコンプライアンス、新しい企業がどんどん来て、どこが遵法でどこが違法なのかとかも色々やられて、たぶんすごい非常に忙しかったと思うんですね。
ビジネスと知的好奇心とロビーと、かなりスーパーマン的に。スーパーマンですよね。それで過労で倒れたので大変だなと思ったんですけど(笑)

増島

(笑)倒れたら、もう世話ないですよ。

(後編に続く)

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