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リチャード・ユン(Richard Yun)氏
Coinplug COO 兼 Metadium共同設立者。カルフォルニア大学バークレー校にて経済学の学士を取得。
財務、M&A、およびオペレーションの専門知識を持つ起業家でもある。
ブロックチェーン技術における先駆者の一人であり、韓国企業の暗号通貨及びブロックチェーン技術の導入に尽力。Exio Communications、Cisco Systems Inc.およびMobile Agent Technology Inc.にて財務やM&Aのスペシャリストとして歴任。その後、衛星受信機会社であるConaxtech Inc.を設立、事業売却などを経て現在に至る。韓国では「ブロックチェーンおじさん」という愛称で親しまれている。
9月末から韓国では、「韓国ブロックチェーンウィーク」が開催されている。もし日本から参加されている方がいらっしゃるのなら、リチャード・ユン(Richard Yun)氏を是非知っておいて欲しい。
「リチャードおじさん」の愛称で親しまれており、周囲の人からは絶大な信頼を得ている。韓国ブロックチェーン業界の成長にはなくてはならない存在であり、ブロックチェーン業界の重要なNodeとなる人をまとめていくというコンセプトの当インタビューでも外せない人物のひとりである。
まずはCoinplugとMetadiumについて概要を教えてください。
Coinplugは2013年に創立した取引所です。ブロックチェーンテクノロジーを開発し、当時はブロックチェーン関連の特許に置いて業界1位で、2位はIBMでした。今は259のブロックチェーン関連特許を保有しています。123のグローバル特許、136の韓国国内特許を保有しており、主にアプリケーションに関する特許を保有しています。
特に承認関係や認証関係に強く、決済、ドキュメント管理、デジタルコンテンツマネージメント、デジタルアセットサプライチェーンなど幅広い分野になります。私達は非中央集権的なアイデンティティとGDPR順守に注力しています。現在では韓国で5番目に大きな取引所です。
そこからブロックチェーン技術の開発を続けて、プライベートチェーンを作りました。
私たちはプライベートチェーンを韓国の大手金融機関KB Koomin Bankに提供した初めての企業となりました。その後、ブロックチェーンによるID認証を軸に、2018年にICOを実施しました。
すごいですね、日本では取引所は取引所、ブロックチェーン事業はブロックチェーン事業と明確に分かれているところが多い印象ですが、リチャードさんは全部手がけているんですね。
Coinplugでは3つの事業を行なっています。一つ目は交換所、二つ目はB2Bのエンタープライズ向け事業。主に銀行や政府、企業にサービスを提供しています。三つ目はMetadiumというID認証プラットフォームです。先ほど話をしたICOはここで行いました。
コインチェック事件の後、日本では FSAによって新しいトークンのリスティングが規制されていましたが、最近になってやっと緩和されていく方向になってきました。Metadiumコインのランキングはかなり高いですよね。
この業界に足を踏み入れる前は何をされていたのですか?
以前はCiscoでM&Aを手がけていました。その後、貿易関連の会社を立ち上げたり、レストランのオーナーも1年間やっていました。
はい、豆腐レストランをやってフランチャイズ化しました。思い返せば色々とやっていますね。
Ciscoで働いていらっしゃったというのはイメージ湧きますが、豆腐屋さんは意外でした!(笑)
クリプト業界でインスピレーションを受けた人や尊敬している人はいますか?
まずは間違いなくCoinplugのCEOであるライアン・ウル( Ryan Uhr)氏です。
彼が最初に会社を共同創業しようと声をかけてくれました。彼にはいつもインスピレーションを受けています。また、友人のVitalik(ヴィタリック・ブテリン)は若いのに素晴らしい技術を開発し、彼の未来のビジョンはいつも尊敬しています。彼は世の中を変えましたからね。
2018年から2019年頭にかけて、クリプト業界について思うことは?
2018年は小さなバブルがいくつも続いた年でしたね。
私が初めてビットコインを購入した2013年は、ICOがブームで投資目的でクリプトが流行し、あまり意義のあるプロジェクトやブロックチェーン技術の真の価値を見出せなかった時代でした。今年に入ってからは、良いプロジェクトがかなり多く出てきていますし、人々がやっとクリプト市場の価値に気づき始めていると感じています。
トークンホルダーにアドバイスをするとしたら何かありますか?
まずは、長い目で見ることですね。あとは良いプロジェクトを選択することかな。
価格が高騰しているトークンに投資するのではなく、トークンごとの価値を見極めてほしいです。
現状、クリプトはまだ投資目的でしか捉えられていません。人々の生活の一部になる事例が出てこないと難しいと思います。私自身、色々なプロジェクトを見てきましたが資金を集めてはパーティーを開区ということを繰り返しているところも多いです。
パーティーを開くのも良いのですが、パーティーは一回限りで終わってしまうので、より価値のあるプロジェクトを輩出し、世間の人々にその価値を気づいてもらうことだと思います。
信頼とネットワーキングです。私のニックネームは「Richardおじさん」なのですが、それくらい周りの人々に親しみを持って接していただいています。ビジネスを始める前に、私は必ず相手とリレーションを作るところから始めます。良い人こそいいビジネスを創ると思っているからです。
不透明な物事ですかね。確信を持てない時や曖昧なものがすごく苦手です。ビジョンを作りにくいですし、どの道を歩めばいいのか迷ってしまいます。ですからビジョンやミッションを明確に持つことが大切だと思っています。
あとは、自信も重要だと感じます。2013年にこの業界で仕事を始めて、韓国政府とのアポイントをお願いした際にはブロックチェーンやクリプトは怪しいという偏見から、何度も断られました。ただ、私にはブロックチェーン技術に対する自信があったので折れず、突き進めました。あの当時、自信を持って行動していなければ今の自分はいないでしょうね。
その苦労はとてもわかります。最初は一般の人でさえ不審者扱いされてたので、政府の方へ継続的かつ積極的にコミュニケーションを取ろうと取り組まれた活動は尊敬しますね。
ところで、実は日本人だと、河合健氏と仲がいいんです
そうなんですか?河合先生は弊社のアドバイザーでもあります。
世界を変えること、自分がしたことが日常生活の一部になることです。
それは素晴らしいですね。
ちなみに次のインタビューにオススメの人物はいますか?
先ほども話をしましたが、CoinplugのCEOであるRyan・Uhr(ライアン・ウル)氏です。韓国のブロックチェーン技術においてはレジェンドですし、政府からの信頼も厚いです。
ではぜひ次回韓国に行った際はオフィスに遊びに行かせてください!
そうですね、ブロックチェーン業界もきっと安定しているでしょうし、技術面においてアドバイザーとしてプロジェクトに参画しているのではないでしょうか。もしくは引退しているかも(笑)。
でもきっとパートナーたちと話をしたり、まだ人気が出ていないプロジェクトの支援や、アフリカでの支援活動をしているかもしれないですね。
ここからはプライベートな質問なのですが、お好きな映画や本はありますか?
映画だと「ボヘミアンラプソディー」、本は「On Radical Markets」です。
とてもいいのでおすすめですね。
難しいところですが、シンガポールですね。
一年中気候が安定しているので安心します。
韓国は寒暖差のアップダウンがジェットコースターのようで、疲れてしまうんですよね。(笑)
リチャードさんは温暖な気候の国がお好きなんですね!
普段お忙しいと思うのですが、ゴルフする時間は取れるのですか?
時間は作るようにしていて、行くときは友人や業界の人と行きます。
ゴルフをしている4時間は周りとのリレーション作りも兼ねているので、そこに時間を投資している感覚ですね。
私はゴルフはしたことないのですが、ゴルフは話しながらできるのでとてもいいと聞きますよね。
Future(未来)です。ブロックチェーンは未来だと思っています。
難しいですね・・・「データからブロックチェーン革命」というところでしょうか。
コロンブスのような人でありたいですね。
コロンブスは新しい大陸や文化、発見を求めて航海しましたが、私も同じく新しい技術や事例、解決策を求めています。コロンブスは孤独でありながらも、誰も止めることができなかった人物です。
周りは「なぜ新しい大陸を求めているのだ」と反対ばかりしていました。私も同じく「きっと実現できない」と言われることがあります。そんな中、私も彼のように新しいシステム構築および事例発見のために全力を尽くしたいと思っています。
まだできて間もないブロックチェーン業界に参加してくる人もいれば、去る人もいる。
しかし、彼が黎明期から積極的に活動できているのは「揺るぎない確信」があるからだろう。
現在、日韓関係が緊迫する状況にあるが、私たちは同じ話題を持ち、共有できるビジョンがあり、そしてお互いに助け合える。そう言った関係が作れていることは嬉しいことだ。ブロックチェーンという概念で繋がっているからこそ、フラットに接し続けられているのかもしれない。「ブロックチェーンを信じる」という同じ想いをこれからも大事にしていきたい。