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【BLOCK #1】 17歳の注目エンジニアが描くブロックチェーンの未来


第1弾のインタビューは、末神奏宙(すえがみ そら)氏。

インタビュアーである藤本が大阪で主催したビットコインミートアップに、彼は参加していた。
知人から「可能性の塊だが、関西の田舎に住んでいて、業界との繋がりがないから力になってやって欲しい。」と紹介されたところから、この縁は始まった。

彼に何かを感じた藤本は、イーサリアムジャパンの主催する「Ethereum Japan Community Meetup 」や「Ethereum Singapore meetup」の登壇ステージに彼を誘った。
その後、彼は、独立行政法人情報処理推進機構の事業である、17歳以下の小中高生や高専生を対象にした人材発掘・育成事業「未踏ジュニア」において、2018年度「未踏ジュニアスーパークリエータ」に選ばれるなど、彼の独特な発想と地道な研究開発は、次第に注目を集めるようになった。

若干17歳の高校生。

業界関係者なら誰もが知っている、ヴィタリック・ブテリンがイーサリアムを考案したのが19歳。
末神奏宙を「初めて見る」方も多いかもしれないが、彼は間違いなく日本を代表する開発者になっていくだろう。

藤本との対談を通して、末神奏宙こと「そらすえ」が描く未来を感じていただきたい。


ブロックチェーンに興味を持つ高校生ってそんなに多く無いと思いますが、ブロックチェーンに興味を持つ前はどんな事に興味があったのですか?

今、高校3年生なのですが、暗号通貨に出会うまでは、理論物理学に興味を持っていました。
中学生の頃、科学雑誌『Newton』に出会い、相対性理論を知ったのがきっかけです。この宇宙を一つの数式で表現しようとする物理学者たちの試みに、とても共感していました。学んだ物理学で培った「理論の美学」のようなものは今でも活きていると感じています。

中学生で相対性理論!すごいなぁと思っていましたが、そこまでとは。

物理学に夢中になっていたにも関わらず、この業界に興味を持ったきっかけは何だったのですか?

もともと父がビットコインに投資していたことが、暗号通貨に出会うきっかけでした。
僕もビットコインを買うことを勧められてまして(笑)
色々と詳細を調べていく中で、土台の技術であるブロックチェーンを知りました。

「これで宇宙を作れる!」というのが最初の印象です。
「一度起こったことを取り消せず、ルールは例外なく守られ実行される」
まるで「過去は変えられず、物理法則は絶対守られる」この宇宙そのものではないでしょうか?

実は今でも、ブロックチェーンの上に宇宙を作ろうと企んでいます。

宇宙って壮大だね!どうのような意味で宇宙って言ってるの?

大きな意味としては3つあります。
1つ目に、全てに例外なく適用されるルールが存在するということ。
2つ目に、過去の歴史は変えられないこと。
3つ目に、エネルギーなどのように保存則が成り立つものが存在すること。

この3つの観点をブロックチェーンに当てはめてみると、以下のようにまとめることができると思います。
1つ目は、プロトコルやスマートコントラクト、
2つ目は、ブロックチェーンの改竄に必要なコストの巨大さ、
3つ目は、(新規発行などはありますが)総量が保存されるトークン・暗号通貨
この物理世界とブロックチェーンによる世界の区別がなくなったと認識された時、人間は宇宙を作れたと言えるかもしれません。

なるほど。そういった意味で誰もが宇宙を創れる可能性がでできたということだね。今は世界中の人達がバラバラに宇宙のカケラを創っていて、お互いが宇宙のカケラを自慢し合っている状態。けれども、奏宙くんが大人になる頃には、バラバラな宇宙のカケラをまとめてどうやってひとつの宇宙にしていこうか!という動きがきっと活発になっていく気がする。その時までに、奏宙くんにとっての理想の宇宙のカタチができていたらいいね!

そうえいば、奏宙くんはいつ頃この業界に入ってきたのですか?

2017年の春、ちょうど暗号通貨バブルが始まる前だったと思います。
先ほどもお話しましたが、父に誘われて暗号通貨の世界へと入っていきました。
当時は新しいブロックチェーンがたくさん登場してきていたので、ホワイトペーパーなどを参考にして、いろいろな技術を俯瞰・比較しながら勉強しました。

この業界で影響を受けた人がいたら教えてもらえますか?
できたら、その理由も知りたいです。

それこそ、Miss Bitcoinこと藤本真衣さんが、僕の人生を変えてくれました。
理由は、たくさんの方々を紹介してくださり、多くの繋がりをいただくことができたからです。
例えば、真衣さんが紹介してくださった方に、シンガポールへとお誘いいただき、Zilliqaの開発者の方に、僕が現在開発しているVreath(ブレス)のコンセプトをプレゼンすることもできました。

また、僕が師匠と仰いでいる方もいらっしゃいます。ここではお名前を伏せさせていただきますが、独自ブロックチェーンを構想していた段階から、相談させていただいていました。その方は、多くの暗号通貨の興廃をご覧になり、暗号通貨プロジェクトを進める上で、何が本質であるかをご存知ですので、今でもアドバイスをいただいています。

そのように言ってもらえると、私もすごく嬉しいです(笑)

奏宙くんは、それこそ日々勉強しながら開発をされていると思うのですが、そんな中、今もっとも注意・興味深く、見ているプロジェクトや対象はありますか?

最も注目しているのは、zk-snarksやzk-starksなど、ゼロ知識で任意の計算を正しく実行したことを非対話的に証明する技術です。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、一般的に、これらはプライバシー保護技術として着目されています。ただ、僕は「データがなくても検証できる」という特徴に注目しています。

みんなでデータを重複保存し検証することでブロックチェーンは永続性・安全性を担保していますが、これらは同時にノードの負荷・スケーラビリティの低下にもつながっています。そこで活躍するのがzk-snarksなどです。例えば、plasmaのように親チェーンが子チェーンを監視する設計の場合、子チェーンが自分のチェーンで不正が起こっていないことの証明を親チェーンに提出すると、親チェーンは子チェーンのブロックを知らなくても、その証明を検証することができます。そのため、いくら子チェーンのデータ量が大きくなっても、親チェーンは証明だけ保存しておけばいいのです。

このような技術が出てきたことで、まだまだ課題の多いブロックチェーンですが、少しずつ進みそうな感じがしますね!

そうですね!安全性と効率性を両立させることができると、ブロックチェーンを設計する側としてもできることが増えて嬉しいです。

少し話は変わるのですが、2018年は暗号通貨が大きく変動をした年でした。特に年始からの大暴落が記憶に新しいですが、昨年の暗号通貨市場に対する感想があれば教えてください。

昨年の暗号通貨市場は冬の時代でした。バブルが弾けて、投資対象としての暗号通貨への注目が落ち込んだ一方で、水面下での開発は確実に進んでいたと感じています。
大きく飛び立つためには、まず大きくかがまないといけません。
飛躍するために必要な期間だったと思っています。

そうなると、2019年は飛躍の年ということですね!
今年のマーケットやブロックチェーン産業はどうなっていくと思いますか?

いえ、今年に冬の時代が終わるかは正直わかりません。ただ暗号通貨市場への参加者は大きく増えると思います。なぜなら、昨年よりも暗号通貨・ブロックチェーンの実用化が進み、ユーザーが暗号通貨に触れる機会が多くなるからです。

なるほど。新しくブロックチェーンや暗号通貨に触れる人が増えるのはいいことですが、あえて今、コインホルダーの方に話したいことがあるとすれば何でしょうか?

ホルダーの方にというわけではないのですが(笑)
僕が開発しているVreathのMain netが始動しますので、マイニングでVRTトークン(Vreath上の基軸通貨)を手に入れてくださると嬉しいです。

Vreathは「暗号通貨を最初に入手するのが難しい」という問題を解決するために開発している暗号通貨・VM搭載パブリックブロックチェーンです。
世界中の人々に暗号通貨を広め、ブロックチェーンやDappsが日常的に利用できるようにします。そして、あらゆる価値が、まるで呼吸をするように自由に循環する未来を実現します。

Vreathの最大の特徴は、Proof of Unitという独自のコンセンサスアルゴリズムです。
どんなに小さなハッシュパワーであってもきちんと評価し、そのマイニング報酬を与えます。そのため、ユーザーは自分のスマホにマイニングさせるだけで、はじめての暗号通貨を入手することが可能です。これがVreathの理想を叶えるための鍵となるのです。まずは誰かに送ってみてください。きっとVreathの価値を感じていただけると思います。

まるで呼吸をするように暗号通貨やブロックチェーンが自由に循環・・ですか。それがVreathの名前の由来でもあるのですね。

この業界に携わる中で、何かひとつ問題点をあげるとすれば何ですか?

ひとつあげるとすれば、最初に暗号通貨を取引所で購入する手間が大きいということでしょうか。暗号通貨を投資ではなく日々の生活で使ってもらおうと考えた場合、最初に大きな手間がかかるのは、普及の足かせになってしまうと思います。

確かにおっしゃる通り、初めて暗号通貨に触れる人からすると、非常に手続きが面倒に思う部分は多いと思います。

はい。ですが、この問題はVreathで解決できると考えています。
詳しくはホワイトペーパーをご覧になっていただきたいのですが、独自のコンセンサスアルゴリズムで、ゼロから暗号通貨をすぐに手に入れられるようにするつもりです。

それは楽しみですね!

ビジネスを進める上で大事にしていることは何ですか?

利益ではなく可能性にコミットする、そして、多くの人に影響を与えられるポジションになるということでしょうか。
僕は常に「美しい」解決策を取りたいと考えています。単に現状の課題を解決するだけではなく、新しい可能性・任意性を開拓するものが「美しい」解決策であると思っています。

例えば、イーサリアムはブロックチェーンにVMを載せることで、任意の状態遷移をトラストレスかつ永続的に行えるようにしたことが、とても美しいと思っています。僕はこの可能性を開拓していきBlockchainを世界中の人々と共有することで、誰もが自分の夢を追求できるようにしていきたいのです。

ここまでは技術的で難しい話も多かったので、ここからは、奏宙くんの素顔に迫る質問をしていきますね。一問一答みたいな形になりますが、ぜひ奏宙くんが普通の高校生だという一面も感じられたらなと思います(笑)

奏宙くんが人生でチャレンジしたいことは何ですか?

最初でも触れましたが、僕は将来、宇宙をブロックチェーン上に作ろうと思っています。ブロックチェーンを通して世界中の演算能力を結びつけ、物理法則をスマートコントラクトとして実装することで、永遠と未来へと状態遷移していく新たな世界を構築することができるかもしれないと思っています。

奏宙くんが持っている独特の発想により磨きがかかっている気がしますね!

先ほども少し話をされてましたが、どのような世界を実現したいですか?
またどのような未来を描いているかも教えてください。

まずは、Vreathで世界中の人に暗号通貨を普及させ、51%以上の人がDAppsなどを通して生計を立てられるようにします。それだけで多様で大きな価値を生み出せると思います。
次に、サーバーやIoT機器などあらゆるマシンを何らかの形で、ブロックチェーンに接続させ、代金を支払えば、それをシームレスに使えるようにします。そして、プライバシーが守られていることが前提ですが、世界中の情報をブロックチェーンから扱えるようにします。

つまり、分散システム上に、あらゆる価値、マシン、情報を集積させ、それを誰もが自由に利用でき、誰もが面白いこと・やりたいことを始められる。そんな未来を考えています。

なるほど。どのような人も自由にやりたいことができて、その手段も選択ができるそんな未来ということですね。

この人は、ぜひ読者に紹介したい又はインタビューしたほうがいいと思う方がいればぜひ教えてください。

極度妄想さんこと、日置 玲於奈さん(Twitter: @leo_hio)を推薦させてください。よくツイッターで意見交換や、最新の技術についてご教授頂いたりしています。

尊敬している起業家・経営者はいますか?

Apple創業者のスティーブ・ジョブズを最も尊敬しています。
徹底的な美への追求や、自分の製品と顧客を巻き込んだ壮大なストーリーを語れるところに憧れています。
Vreathをブロックチェーン業界におけるiPhoneのような存在にしたいです。

美しいものへのこだわりというところは、物理学者の考え方に共感したのと似てますね!
壮大なストーリーというのは、Vreathも同じように巻き込んでいきたいというところでしょうか

そうですね。

奏宙くんが影響を受けた映画や本はありますか?

『ホーキング、宇宙を語る』という書籍がお気に入りです。理論と数式に基づいて考察を進めると、ドラマティックな結論にたどり着き、実験で証明される・・そのような物理学の道筋に感動しました。ビットコインも、最初はサトシ・ナカモトの考えた理論上の存在でしたが、プログラムとして実装され、10年動き続けているという点で、物理学と似ていると思っています。

そういった意味でいうと、ビットコインは現在も実験で、結論を証明している途中ということになりますね。まだ道のりは長いかもしれませんが、サトシ・ナカモトが描いていたような結論が証明されるといいなと私は思います。

好きな国はどこですか?

ミートアップに連れて行ってもらった、シンガポールが最も好きです。あれだけ小さい国にもかかわらず、アジアのHubとして多くの人材が集まり、最先端の国家になっている感じが好きです。あと、いつでも日本のラーメンが食べられるのも嬉しいですね(笑)

ブロックチェーンを一言で表すとしたら、どのように表現しますか?

「Next Nature」ですね。

ブロックチェーンや暗号通貨が起こしている、もしくは将来起こすであろうことを革命とするとしたら、その革命にどのような名前をつけますか?

「人類による自然の構築」とでもいうべきでしょうか。

もし歴史書に残るとしたら、どういう人物として名を残したいですか?

サトシ・ナカモトのようにシステムの設計者として歴史に残りたいです。
美しいシステムを実現させていくのが、僕のやりたいことです。
なので「みんなが当たり前に使っているシステムの設計者」として名前が残っていると嬉しいですね。

奏宙くんが、開発する「美しいシステム」を使う日はそんなに遠くないような気がします。これからも心から応援してますよ! 本日はどうもありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。


会話をしていると到底17歳とは思えない、落ち着いた表情と論理的に話す末神奏宙氏。しかし、開発しているVreathの話になると、まるで好きなスポーツに熱中しているように、目に輝きを宿し、素敵な笑顔を見せてくれた。

彼が開発している「Vreath(ブレス)」、また考案した、暗号通貨の入手障壁を下げるための独自合意アルゴリズム「Proof of Unit(プルーフオブユニット)」
その詳細については、是非下のリンクからご覧頂きたい。

Twitter:https://twitter.com/SoraSue77
Github:https://github.com/SoraSuegami
Vreathホワイトペーパー:https://github.com/SoraSuegami/Vreath/wiki/White-Paper

彼がどのように「美しい」未来を作っていくのか、引き続き注目していきたい。


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