猪熊真理子
東京女子大学文理学部心理学科卒業。学生時代に女性の自信形成に興味を持ち、心理学を学ぶ。認定心理士。2007 年(株)リクルートに入社。「ゼクシィ」や「Hot Pepper Beauty」などの事業で事業戦略、ブランドプロモーション戦略、マーケティングなどに携わる。会社員の傍ら、「女性が豊かに自由に生きていくこと」をコンセプトに、講演やイベント、セミナーなどで女性支援の活動を行い、高校生から70 代の女性まで延べ3 千人を超える女性たちと出逢う。2014 年2月にリクルートを退職し、3 月に株式会社OMOYA を設立。株式会社OMOYA では、主に女性消費を得意とした、経営・ブランドコンサルティングや企画マーケティング、組織のダイバーシティーマネージメント改革、企業内の女性活躍推進などを行う。社会人女性の学びの場「女子未来大学」ファウンダー。多様な価値観の多様な幸せを女性たちが歩めるような未来を目指して女性のキャリアや心理的な支援活動などを行っている。著書に『「私らしさ」のつくりかた(猪熊真理子著・サンクチュアリ出版)』
木村アリサ祐美
日本語、中国語、英語のトリリンガルで、日中米で教育を受け、アメリカと日本及び中国のテック業界にて活躍中。大学入学前から、上海にて不動産コンサル、翻訳、会議通訳関係の業務に3年間携わり、関西学院大学の法律学部在籍中の頃からバイオテクノロジーおよびハードウェア業界におけるいくつかの国際的なM&A 案件に参加。大学卒業後米国でファイナンス、iOS エンジニアニングの学習、及びシリコンバレーにてVC、コンサルティング事業を展開など、グローバルかつ多様な市場・文化での豊富なビジネス経験を有する。 2013 年関西学院大学法学部卒業し、スピネーカー・パートナーズ(SPI)のパートナーとなり、ベンチャーキャピタル事業を立ち上げた。2016 年世界中の女子なら誰でも知っているアプリBeautyPlus を開発したMeitu 社の日本総責任者として就任。
女性に元気と勇気を!頑張る女性にこそ読んで欲しいグラコネ対談
今回のグラコネ対談は、企業の想いを実現するための事業コンサルやマーケティング支援を行う株式会社OMOYA 代表・猪熊真理子さんと、スマホを使う女の子ならほとんどの人が知っている超有名カメラアプリ「BeautyPlus」の開発・提供を行っているMeitu(本社中国)の日本責任者を務める木村アリサ祐美さんをお迎えしています。このグラコネ対談を読んでくれている女性たちに勇気を与え、新たな一歩を踏み出せるような対談になると思います。それではグラコネ対談スタート!
私は小学生くらいの頃から、「人はなぜ生きるのか?」ということをいつも考えている女の子だったの。私には、この世に生を受けることができなかった妹がいて、なぜ私は生きていて、何のために生きるんだろうということを深く考えるようになったのね。人にはいろんな自信のなさを抱えていると思うのだけれど、私の場合は「自分が生きていていい」という自信がなかったの。これは今の仕事に繋がっていて、世の中には大小はあるけれど私のように自分に自信を持てず、悩みを抱える女性がいっぱいいることを知るキッカケになった。そうした悩みや苦しみを知るたびに、「みんなのらしく生きる」を応援したい、幸せにしたいという気持ちが強くなって、割と早い段階から「女性を幸せにする事業」で将来起業しようと決意したの。
やりたいことは、ずっとひとつだけ?途中で寄り道とかはしなかった?
学生時代のモットーは「やりたいことはなんでもやってみる」で、好奇心の赴くまま、やりたいことは何でもやってきた。ちょっとやりたいこととか、何年も想いが続くようなやりたいこととかいろいろあったけれど、女性たちを支援したいという気持ちはずっと変わらなかった。頑固なのかな(笑)
祐美もずっと女性を応援したいって言ってるよね?
私の場合は、父がとても教育熱心で、成績もクラスのランキンでは常に3 位以内、学年では10 位以内をキープしないと「お前はダメだ」って言う人だった。勉強は頑張ったけど、それでも「お前が男だったら、もっと出来たはずだ」とか言われて、それが凄く悔しくて、女の子だってできる!女の子がんばれ!ってなった。私も頑固。負けず嫌い(笑)
確かにすべてにおいてナンバーワンになるのは難しいかも知れないけど、女の子だって男の人に負けないことがいっぱいできると思う。
私も「自分がナンバーワンになれない」というコンプレックスをずっと持ってた。でも、人の得意なことには一つのことを徹底的に追求する“Professional”なことが得意な人や、もっと多方面に能力を発揮できる“Generalist”なことが得意な人もいて、自分の得意なことはこれだって判れば、いつか肩のチカラが抜けるんだよね。自分が興味あること、それが例え複数あってもやってみればいいんだよ。みんなスペシャリストになることはできない。これからの時代は、もっとバランス感覚で強みを見つけていくべきだと思う。
やりたいことが見つからない。そんな女の子たちへのアドバイスを教えて
「やりたいことが見つからない」って女の子は多いと思うんだけど、私の場合あまり迷ったことがなくて、目の前にあることを全力で頑張りなさいってアドバイスしかできないんだけど、お二人なら、どんなアドバイスをする?
やりたいことにもレイヤーがあるよね。今日やりたいことなのか、人生をかけてやりたいことなのか。悩んでいる子たちに多いのは、人生をかけてやりたいことじゃないと、やりたいこととは認められないと思い込んでしまっている。そんなことは全然なくて、やりたいことって雪だるまをつくるときみたいに、最初は小さいんだけれどだんだん膨れ上がるものだと思う。人生をかけてやりたいことが、いきなり降ってくるわけないはないから、いろんな経験やアクションを重ねて、やっとカタチになっていくものじゃないかな。まずは興味があることに対して、自分なりのアクションを起こす。これが大切なこと。
今までと違うことにチャレンジしてみたければ、他の人の生き方を真似てみるのもいいと思う。トライしてみれば、そこからやりたいことって広がっていくんじゃないかな。
大学時代に受けた社会心理学の授業で、人生の優先順位を決めようというテーマがあってね、自分が10 年後にやりたいことを書き出して、二者択一で優先順位をつけてランキングしていくんだけど、私の人生の優先順位で最も高かったのは、母親になることだったの。で、私はどんな母親になりたいのか考えると、人間として豊かな母親になりたいと思ったの。例えば子どもがいじめられて帰ってきたときに、いま忙しいからって言ってしまうのか、何かの気配を感じて抱きしめてあげられるのか、それって私の人間性にかかってるよね。私は、豊かな母親になる前に豊かな人間になろうと思って、働くことを決めたの。だから私にとって働くことの意味の一つは、人間性を成長させることにある。
女性の人生には不確定要素が多いけれど、「誰といつ結婚してもしなくても、子どもを生んでも生まなくても変わらない自分の軸」は必ず自分の中にあって、その軸の周りに誰と出会ってだとか、子どもを産んでだとか、そうした自分ではコントロールが難しい要素があると思える生き方をしないと、常に誰かに頼って、アンハッピーなことを誰かのせいにしてしまう生き方をしてしまうよね。
自分の軸をしっかり持てば常に動揺しないし、なんか何でも乗り越えられそうな気がする。これって女性だけでなく、男性にとっても大切なことだよね。
日本の女性に対してのメッセージは?
二人が実現していきたいのは、どんな社会ですか?
男女が平等な社会です。女性が男性と同じポジションで仕事をしたときに、なぜ女性が?という雰囲気になることが私の経験の中で沢山あります。性別なんて関係ないって所で働いていたので、日本のそうした風潮はすごく敏感に感じる。「グローバルジェンダーギャップレポート2016 を見ると先進国の中で最下位(2016 年ジェンダーランキング)ですよ。インドより下で、世界で111 位でした。 」これは本当にダメなことだと思うし、みんなで変えていこうよって思う。
日本って宗教的な価値観が強くある国じゃないのに不思議だよね。フェミニズムに関する戦いって歴史があるけど、それって実は女性が負けてる前提になっていて、そうした男性に負けないって思うこと自体が違うんじゃないのって私は思う。「女性らしさ」の定義も時代とともに変わってきているけれど、男性は男性らしくていいし、女性は女性らしくていい。異なる人間同士がどうやって相互に人間理解を深めるか。お互いがもっと相乗効果でいいチームを作っていくべきなんじゃないかな。
例えば父性とか母性とかあるけど、これを心理学的、社会学的な性質として研究していて、父性は垂直に働く「成る」というチカラ、母性が水平に働く「在る」というチカラって言われているのね。このチカラって企業にとってどちらもなくてはならないものだし、性質の違うお互いのチカラを認め合っていくべきだよね。
今日はお二人の考えの根本の部分から、これから目指していくもの、悩んでいる女の子へのアドバイスまで聞けて、嬉しかったです。私も女性起業家の一人として、まだまだ頑張れる、頑張らなきゃと勇気をもらえました。お二人がもっと活躍して、日本の女性がもっともっと活躍できることを期待しています。
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